大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和29(あ)1531 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人A弁護人小野清一郎の上告趣意は、結局原判決が被告人に対し公職選挙法

二五二条一項を適用したものであることを前提として、同項の違憲を主張するに帰

する。しかし、原判決は同項を適用したものでないことは明らかであるから、違憲

の主張は前提を欠くものであり、原判決の違法を主張すべき上告理由としては不適

法であるといわなければならぬ(判例集八巻六号九七二頁参照)。その余の論旨は

量刑の非難に帰する。

同弁護人鍛治利一の上告趣意第一点は、原判決が証拠によつて確定した事実にそ

わない事実を想定して判例違反を主張するに帰する。原判決が証拠に供しているB

の検察官に対する第八回、第九回供述調書謄本(記録二五五丁、二七〇丁)によれ

ば、原判決の認定した交付罪の成立は、肯認することができる。論旨は採るを得な

い。

同第二点所論のごとく、原判決は、第一審判決を破棄自判するに当り、同判決が

挙示した各検察官に対する供述調書謄本を引用している。しかし、記録を調べると、

第一審公判廷で右供述調書謄本の各供述者を証人として喚問し、被告人に同人等に

対する審問の機会を十分に与えていることが認められる。それ故、違憲の主張は前

提を欠くものであつて、採ることを得ない。その余の論旨は単なる訴訟法違反の主

張に帰する。

同弁護人出塚助衛の上告趣意第一点は違憲をいうが、その実質は事実誤認、単な

る訴訟法違反の主張を出でないものである。

同第二点は違憲をいうが、所論のように不利益な供述を強要した事実が認められ

ないことは原判示のとおりである。

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それ故、違憲の主張は、前提を欠き、採るを得ない。

同第三点は違憲をいうが、その実質は量刑の非難に過ぎないものである。

被告人C、同D、同Eの弁護人出塚助衛の上告趣意は違憲をいうが、所論被告人

等に不利益な供述を強要したり威嚇した等の事実を認むべき証跡はないから、違憲

の主張は、前提を欠き、採るを得ない。

よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のと

おり決定する。

昭和三〇年二月一〇日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 入 江 俊 郎

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